HYPER LIFE

双極性障害でセクシャルマイノリティな筆者が日々を綴る

トランスジェンダーのここが大変!

トランスジェンダーにはFTMさんにMTFさんがいますが、私のパートナーのように完全に性転換がされていない方もいます。 そのような方々の苦労を、パートナーさんに聞いてみました。

 

 


ぼく、長女です。 [ 諭吉 ]

 

 

仕事編 ~就職~

 

そもそも就活時点で大変です。

何が大変って、就活・転職サイトに履歴書に、必ず性別を書く欄があること。もうそれだけで苦痛。 履歴書の写真と名前・性別が一致しません。運よく通っても面接で実物とご対面。何度も名前と顔を見比べられることも多いようです。

 

私のパートナーは転職時にネクタイを締めた写真を履歴書に使っていました。面接も、当然パンツスーツにネクタイで行きました。

 

あるところの面接で「なんでネクタイしてんの?」と指摘を受け、何の理由か分からないけど、そこは落ちました。

 

それ以来、ネクタイは外しました。 性別「女」なんだから当然でしょ?と言えばそうなんだけど、それでもやっぱり性自認は「男」なのです。だからネクタイも当然のこととして締めたいんです。 そこに苦しい葛藤があります。

 

 

 

仕事編 ~服装~

 

まず制服はNG。 男性はスーツ、女性は事務員服、という職場あるじゃないですか。FTMさんが女性の事務員服なんて着られません。男性が「着なさい」と言われているのと同じです。

 

MTFさんは逆に「着てみたい」と思う方もいらっしゃると思います。けれど、戸籍性別が「男」であればNGです。自分は女性と思いながら、毎日、男性用スーツを着るのも苦しいでしょう。

 

基本的に性別変更前のトランスジェンダーさんは、「服装自由」の職場を選ぶことが多いです。まずそこで制限。(もちろんトラさん以外でも、選択は好みですけどね。)

 

 

ビアンの友人で、見た目がかなりボーイッシュな子がいて、ファミレスでバイトしていたのですが、あまりに男っぽいため、店長よりコックの制服を与えられ、女子なのにホールでなく調理場にいた子がいました。

 

一度、女子の制服を着せられ、あまりに似合わないということで指示が出たそうです。 笑えるけど、いい店長だなと思いましたよ。

 

ところで、この「女子=ホール、男子=調理場」という形式は嫌いです。ジェンダー問題っての?

 

 

 

仕事編 ~名刺~

 

変更前の名前の名刺を持って仕事をするのは精神的にかなりきついことでしょう。渡す相手にも気を使わないと、外見との不一致の印象が残ります。

 

私のパートナーは、ずっと上司が名刺を作りたがっていたのを、名前変更(のことは内緒で)まで必死で何ヶ月も阻止するという暴挙に出ていました。

 

昔の友人の話では、職場でカミングアウトが受け入れられ、名前変更する前なのに男性名で名刺を作ってくれた、という素敵なエピソードもあります。

 

 

 

仕事編 ~健康診断~

 

大きな会社では、社員一斉に健康診断を行いますね。

そのとき、問診票・着替え・内診で自分の身体的性別を改めて実感することになるのと、さらには女性特有検査の乳がん検査や子宮頸がん検査については苦痛極まりないとのこと。

 

検査自体は我慢できても、男みたいな見た目で女性コーナーに呼ばれて入ることが、周りの目を気にしてしまうということでした。

 

健康診断は、個人的に小さなクリニックで済ませたいのが本意だそうです。

 

 

 

日常編 ~身分証明書~

 

役所や銀行などで、言われたとおりに提示すると、まず言われるのが

「ご本人ですよね?」

名前と顔を何度も見比べながら聞かれるそうです。

 

私のパートナーの元の名前は、ほんとに女性らしい名前だったので、外見とは似ても似つかず、聞かれても当然かもしれませんが、本人は「そうです」と言うのが苦しかったようで。

 

こういうことを、「パス度が高い」と言います。FTMさんなら男性に見られること、MTFさんなら女性に見られることを言います。

 

本来ならば、パス度が高いことは本人にとって喜ばしいことです。

けど、上記のようなケースでは、修正しなければならないことが、より深く傷つくことに繋がります。

 

追記:パートナーは名前は変えたけど性別は女性のままです。外見は、ほぼ男です。身分証提示のときの混乱を避けるために、改名後の名前は男性とも女性ともとれる名前にしました。

 

 

 

日常編 ~トイレ・更衣室~

 

トイレは、最近はだれでもトイレが増えて来たのでまだ気楽にはなってきたようですが、職場などではトイレを我慢するという方々も多いのが現状です。

 

また、更衣室はそうもいきません。例えば、習い事などで着替えが必要な場合、身体的性別の更衣室を利用するしかなく、何も知らない人たちから「え?」という目で見られるようです。自分だって嫌なのに、それを周囲の人からの目線も刺さるというのはキツイですね。

 

社員旅行や習い事の合宿などでのお風呂も同じです。FTMさんの場合だと、男性が女湯に入れてラッキーみたいなのとは大違いです。自分の中で不釣り合い感がハンパなく、なにより自分の体を見なければならいといことが苦しいところ。

 

 

最近、LGBTの周知が広まり、半分男の子マーク、半分女の子マークのトイレ表示もメディアでは見ることがあります。

 

パートナーさんにこれについて聞いてみたところ、「これはこれで逆に入りにくい!」と猛反発していました。「あ、あの人、そういう人なんだ。」と見られてしまうから、と懸念しています。

 

特にトランスジェンダーさんは、自分が元女あるいは元男とバレたくないという埋没型の方も多いです。(対してパレードとかで「オレ達、元オンナでーす!!」と公に言ってる活動型もいます。)

 

今の日本では、LGBTという言葉や知識こそ広まってきましたが、まだまだストレートの人たちから見れば、実際にセクシャルマイノリティの人たちのことは物珍しい側面があると私は感じています。

 

例えば新宿二丁目に来て、「見た?いま男同士で抱き合ってた!!」と言っているのを聞いたこともあります。

 

私自身がカミングアウトしたとき男友達から「女同士はきれいだからいいけど、男同士は汚いから嫌だ。」と面白半分に言われ、そのAV目線にひどく傷付きました。

 

同じ少数者でも、例えば身体障碍者の方々には、ほとんどの人が好奇の目を向けることは少なくなりました。セクシャルマイノリティに対しても、いずれそんな日がくるのかな、と考えることも多いですが、まだまだ道のりは長いように私は思います。

 

 

 


ぼく、長女です。 [ 諭吉 ]