HYPER LIFE

双極性障害でセクシャルマイノリティな筆者が日々を綴る

どうする?LGBTカミングアウト!

LGBTなら誰もが直面するであろうカミングアウト問題。黙って埋没していく人もいれば、言わざるを得ない環境にあった人、ちゃんと言った方が過ごしやすいと決断した人、いろいろだと思います。ここでは私のケースを書きます。

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カミングアウト・レターズ 子どもと親、生徒と教師の往復書簡 [ Ryoji ]

 

友達

私は当初、埋没型でいるつもりでした。インターネットを通じて知り合えたセクシャルマイノリティ仲間だけが知っていればいい、そう思っていました。

 

仲の良い友達と会うと、まだ20代前半でしたので、どうしても恋バナになることが多かったのですが、そういう時は、女性と付き合っていても「彼氏」という言葉を使っていました。

 

ところが、相手が中高時代の親友や、辛い部活時代を共に過ごしたバスケ部仲間だったりすると、「彼氏」という言葉を使うことに対して、徐々に躊躇するようになっていきました。なんというかウソをついているようで(ウソなんだけど)心苦しくなってきたのです。

 

けれど、すぐにカミングアウトする勇気は出ず。

その後、「彼氏」から「付き合ってる人」に言葉を変えます。もうこれでウソではない、そう自分に言い聞かせていました。

 

その頃の携帯電話には、まだカメラ機能が搭載される前でしたので(まだPHSか??)、「写真見せて~」は、そう簡単には話題には上がらない良き時代です(笑)なんとかごまかせていました。

 

それでもやっぱり制限がかかります。

「どんな人?」の質問には、容姿ではなく中身の話。「どこで出会ったの?」には、当時はまだ【インターネットで出会う=怪しい】の風潮があったので、「友達の紹介」と返答。

 

こんな感じで小さなウソが積み重なります。もちろん相手によっては、これでいいと割り切れるのですが、仲良しであればあるほどに罪悪感。そしてカミングアウトに踏み切るのでした。

 

 

バスケ部仲間にカミングアウトしたときのことを書きます。

 

最初は、数人いる中からAちゃんという一人だけにカミングアウトしました。彼女は高校3年間同じクラスで、よく電話もしたし、進路の相談や将来の悩みなど、部活仲間では一番、心を打ち明けていた子です。

 

二人だけで食事をしたときに、思い切って言いました。記憶が定かではないけど、

「私さ、バイセクシャルみたいなんだよね。今付き合ってる人も女の人なの。」だったかな。ともかく、このようなことを言いました。もう心臓バクバク。

 

すると返ってきた反応は「そうなんだ。」とあっさりしたものでした。もちろん拒否されたりなんて一切なく。もうそれがすごく嬉しくて安心して。

「今度、他のみんなにも言うんだ。」とAちゃんに宣言。

 

それからすぐにみんなと集まる機会到来。単なる飲み会だけど。Aちゃんにも、この機会にカミングアウトすることを前もって伝えました。

 

当日、みんなでわいわい楽しんでいる最中、適当なタイミングを見計らって

「みんなに言うことがあるんだけどさ。」と、Aちゃんに話した時と同じようにカミングアウト。あっけにとられるみんな。

 

「私、最近「彼氏」って言ってなかったんだよ。気付いてた?」とも言ってみました。

みんな「気付いてなかった。。。」と正直に返答してくれるのがかわいい。

 

その中で、一人Bちゃんが「でも、うさちゃん(私のことね)はうさちゃんでしょ。」とすごいことを言ってくれました。みんなも同意。

これが、涙が出そうなくらい嬉しくて。

 

単に受け入れてくれる以上の受け入れを頂いた気がしました。偏見も何もなく、私という人間を信頼してくれて仲間として認めてくれている証なんだな、と感動しました。

 

後日、同席していたAちゃんが教えてくれたのは、「うさちゃんがこれからカミングアウトするんだ。上手にできるかな。心配だ。見守っていないと。」とフォローしてくれる気満々で、私以上に緊張してくれていたらしく、それを聞いたときは面白かったのと嬉しいのとで、またもや泣きそうになった私でした。

 

このような形で、私が信頼できる本当に仲の良い友達にはカミングアウトしてあります。彼女さんに会わせたこともあるし、相談も真剣に聞いてくれるし、本気で心配や反対意見も言ってくれます。私は友達には恵まれたと思います。感謝です。

 

 

親・兄弟姉妹

友達には無事にウソをつかずに済むようになりましたが、家族はまだでした。というのも、我が家はなぜか恋愛関係の話が一切出なく、むしろタブーなのか?と思われるような空気が流れています。唯一、父がまだ存命の頃、妹が彼氏を一度だけ連れてきたことくらいです。

 

ですから、埋没していればいいやとも思っていました。ところが大人になると責任がかかりプレッシャーがかかってきます。私は長女なので、余計にそれを感じてしまうようなのですが。しかも母子家庭。

 

そう、「結婚」です。

 

急速にそれを感じたのは、当時付き合っていた少し年上のビアン女性が、お母さまから結婚の話をされている、と聞いた時でした。私もそれをされたら困る、期待させてしまう、と思い、カミングアウトを考えます。

 

ちなみにその年上女性は、私よりお母さまを選んだので別れました。その後、彼女は男性と結婚しました。そのようなビアン女性は意外と多いと思います。

 

母親に言う時は、もう友達なんて比じゃないくらい緊張しました。けど、心のどこかで「親だから子のことなんてみんな分かってる。きっとバレてるだろう。」という思いもあり、向こうから指摘される前に言いたいという焦りもありました。

 

「話があるんだけど。。。」とカミングアウト。

母は一瞬黙っていましたが、自分の男友達に女性に興味が無い人がいるなどと、話をしてくれ、同調してくれました。母親なりに頑張って驚きを隠し、受け入れてくれたのだと思います。

 

次は妹です。

こちらもかなりの緊張。頑張ってカミングアウト。すると返ってきた答えは、

「そうなんだ。友達にもいるよー。」とあっさり!

いや、もうびっくり&気が抜けたったらないですよ。拒否されるよりずっといいですけどね。ともかく安心しました。

 

妹は高校の友達にFTMがいて、さらに小中と仲良かった女友達が、大人になって会ったら男になっていた、という楽しい環境の持ち主です。

 

母も、今の私のパートナーにはずいぶんと慣れてくれて、一緒に食事をすることも多いです。

 

来年は、母と妹とパートナーと私の4人で、富士山に登ろう計画を立てています。私が登山趣味なのと、パートナーがまだ未登頂なので。他3名はみんな経験者です。仕事休めるといいなー。っと、話はずれましたが、仲良くやっています。

 

 

職場

私は、カミングアウトしません。これに尽きます。付き合ってる人すらいない、で通します。

 

なぜなら、カミングアウトしたところで何のメリットもないからです。職場に仲良しこよしを作りに行っているわけでもないですし。

 

特に今の会社では、双極性障害ってだけで白い目で見られたので、さらにセクマイだなんて死んでも言えません。好奇の目で見るに決まってます。考えただけでも汚らわしく感じてしまいます。

 

以前の職場が、海外営業部だったのですが、そこではバレかけました。私はいつもパンツスタイルです。髪も当時はショートでした。(今もロングじゃないけど)

 

営業のおっさん達は、しょっちゅう海外に飛んでいるので目が肥えているのか、おそらく私のそんな外見から察したようでした。

「うさちゃんって、彼女がいる人だと思ってたー。」と。

 

ドッキーン!おぉ、当たってるじゃないか!と思いながら、「違いますよ。いませんよ。」を貫き通す。

 

男性の先輩(妻子あり)と飲んだときも、お互いお酒が強いので夜中まで飲み、ショットバーでへろへろになった先輩から「おまえ、レズなんだろ?」を何連発くらったことか。こっちも酔ってるのであやうく口が開きそうになるのですが、理性を張り「違います。」の連呼。

 

あまりにしつこいので

「そういう人たちへの理解はあります。先輩こそどうなんですか?男性と付き合ったことあるんじゃないですか?」

 

なんてけしかけてみたら、

「あるよ」

と驚きの告白。

 

すごいびっくりしたけど、それでも私はカミングアウトしませんでした。先輩の告白を誰かに言うつもりは一切ないけど、だからって私のカムアウトがどこで漏れるか分からないからねー。

 

とはいえ、今の会社と比べると、とても過ごしやすい環境でした。

 

 

まとめ

こんな調子で、相手をよく見てカミングアウトしています。

 

私のパートナーは、友達にFTMであるとカミングアウトしたとき、何年も黙っていたので、受け入れてもらった瞬間に「今まで黙っていてごめんなさい」と罪悪感が込み上げてきたそうです。

 

私も罪悪感は感じましたから、似たような思いをする方も多いのではないでしょうか。別に悪いことしてるわけじゃないんだけどね。どうしてだろうね。

 

これが、マイノリティが自らをマイノリティという枠に入れ込んでしまうことになる仕組みなのかなー、なんて思います。

 

 

 


カミングアウト・レターズ 子どもと親、生徒と教師の往復書簡 [ Ryoji ]